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2015年 台風11号

7月16日(木)23時頃に高知に上陸した台風11号(ナンカー)。2015年初の上陸台風はどのような影響をもたらしたのか、ウェザーリポーターの皆さんの情報を元にまとめました。

検証 台風11号の特徴

今回の見解では、強い(雨風の影響大)・大きい(影響範囲が広い)・遅い(影響が長引く)という3つの特徴を持った台風だと予想していました。

では、実際はどうだったのか、ウェザーリポーターの皆さんに振り返ってもらった結果がこちらです。

台風が直撃した四国や中国、兵庫では雨風ともに強い印象を持っていて、近畿の一部、静岡や関東では太平洋側ほど、雨の強さに対する印象を強く持ったことがわかります。つまり、今回の台風は『雨台風』となりました。

また、16日(木)昼に「冠水していますか?」と関東エリアの皆さんに伺った結果を見ても、東京や神奈川・埼玉・関東北部ほど冠水エリアが多いことが分かります。

リポートで被害を振り返る

雨台風を裏付けるように、各地から届いた報告も水害のリポートが多く届きました。リポートは風による被害よりも、大雨による冠水や河川増水、そして高波の報告が目立ちました。

降り始めからの雨量は以下の通りとなりました。
(18日6時まで)
・上北山(奈良県) 745.5mm
・宮川(三重県)  700.0mm
・魚梁瀬(高知県) 681.0mm

・丹沢湖(神奈川県)423.0mm
・八王子(東京都) 221.5mm
・飯能(埼玉県)  220.5mm

・京都(京都府) 264.0mm
・神戸(兵庫県) 300.5mm
・枚方(大阪府) 253.5mm

解説 台風11号の特徴

強さ⇒予想ほど勢力維持せず
今回の台風は、中心の西側よりも東側に影響が偏っていたことが言えます。

上陸前の雨雲の分布をみてみても、台風の中心の東側の方が雨雲が発達しており、これが、特に徳島、紀伊半島南部、関東西部で大雨の影響をもたらしました。

大雨による被害は発生しましたが、上陸時に勢力が維持されなかったため、暴風の被害はあまりでませんでした。

雨台風と感じた方がおおかったのは、そのためです。

大きさ⇒アウターバンドの大雨
最接近する前に、台風11号の一番外側の雲と梅雨前線が一体化した雨雲による大雨も今回の雨台風を物語る特徴の一つです。

関東や東海、甲信エリアで冠水レベルの雨を降らせたのはこの雲です。台風の本体からは離れていたものの、激しい雨となり、冠水や土砂災害をもたらしました。

遅さ⇒夏台風の動き
台風11号は太平洋高気圧の縁に沿って北上した結果、ほぼ真北にユックリ進みました。

このため、台風と西日本の位置関係が変わらず、同じ場所に暖かく湿った南寄りの風が吹き付ける状態が続きました。

さらに、台風は上空の西風(偏西風)に乗って移動しますが、この時期は、この西風が日本より北に位置しています。

そのため、台風が日本付近まで北上しても、この風にのれずに、スピードアップせず、雨が長時間続くことになりました。これは夏台風の典型的な動きと言えます。

提供:株式会社ウェザーニューズ