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2016年 台風9号

週明けの首都圏を襲った台風9号、各地の被害と特徴をまとめました。

台風9号の軌跡

8月19日に発生した台風9号は、典型的な台風のカーブを描くことなく、まっすぐに北上しました。そして、22日に暴風域を伴って、千葉県館山市付近に上陸しました。

上陸後も台風本体の雨雲を崩すことなく陸地を縦断、23日に北海道に再上陸し、足早にオホーツク海へと抜けていきました。

各地の影響

台風が通過するタイミングが週明けの日中ということもあり、首都圏を中心に交通機関への影響が広がりました。東北や北海道でも、鉄道や空の便に影響が出ました。

また、ウェザーニュース会員からの被害報告は、冠水の報告が多くなりました。埼玉県や東京都の西部などで、大規模な冠水が相次ぎました。

1)北西側に活発な雨雲

台風9号は、中心の北西側に活発な雨雲ができ続けたたことが特徴でした。そのため、冠水など雨の報告が東京の西部や埼玉などに偏ったのです。

台風北上と、上空の気圧の谷(上空の隠れた低気圧や前線)が北から近づくタイミングがそろったため、中心の北側で雨雲が発達する構造になったのではないかと思われます。

加えて、台風によって送り込まれる南東からの湿った風が、陸地にぶつかって上昇気流が発生し、西側の内陸エリアで雨雲が発達したことが考えられます。

2)暴風域を保つ持久力型

伊豆諸島付近で暴風域ができた後、岩手県〜青森県付近へ北上するまで、暴風域を維持したのも、今回の台風の特徴です。

8月23日時点で、東の海上は関東〜東北南部まで、海面水温が25℃前後あって、平年より温かくなっています。

台風9号は、関東から東北まで陸上を通過する際、東寄りの海に近いエリアを通過したため、海からの湿った空気の供給を受けやすく、勢力を維持したと考えられます。

関東地方の水不足解消ならず

北関東のダムの流域で期待ほど雨が降らなかったのは、台風の進路が影響しました。

台風9号は関東地方の沿岸に接近した頃から、中心の北側に活発な雨雲が形成され、関東平野の広範囲に、特に内陸のエリアに大雨をもたらしました。

ただ、台風の中心が、栃木県、茨城県付近の関東地方の東側を北上したため、群馬県内では活発な雨雲の通過が平野部に集中し、ダムの流域の雨量はあまり多くなりませんでした。


2015年台風アーカイブ

提供:株式会社ウェザーニューズ