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2016年 台風16号

9月の連休明けに、広範囲で影響をもたらした台風16号。その影響と特徴を振り返ります。

台風16号の一生

9月13日3時にフィリピンの東海上で発生した台風16号は、先に発生した台風14号の後を追うように北西に進み、16日には先島諸島の南の海上に到達し「非常に強い」勢力となりました。

その後、東シナ海でいったん「強い」勢力に弱まったものの、19日に復活し「非常に強い」勢力になります。

この勢力を保ったまま、20日0時過ぎに鹿児島県大隅半島に上陸。11時頃、高知県室戸岬付近を通過し、13時30分頃、和歌山県田辺市付近に再上陸しました。

その後も本州太平洋沿岸を進み、愛知県からいったん海に出たところで「温帯低気圧」となりました。

記録残る台風

今回の台風に関連する記録は、以下の通りとなりました。

24時間雨量
宮崎県 日向 578.0mm(観測史上1位)
宮崎県 延岡 445.5mm(観測史上1位)

上陸関連
「非常に強い」勢力で上陸
 →1993年13号以来、23年ぶり

年間に6個目の上陸
 →過去2位タイの多さに

2ヶ月で6個目の上陸
 →過去最多

現地からの情報

19日(月)から20日(火)にかけ、大雨に見舞われた西日本を中心に、冠水や河川増水の報告が相次ぎました。また、最初に上陸した鹿児島県や宮崎県からは、暴風による停電の報告もいくつか届きました。

九州南部や四国を中心として、雨による被害が目立った台風となりました。

台風16号の特徴

秋雨前線とのあわせ技

記録的な大雨となったのは、台風の勢力もさることながら、九州〜関東付近に秋雨前線が停滞していたことが要因です。

台風が九州近くまで北上した際に、台風のすぐ北に伸びていた秋雨前線を、熱帯由来の暖かく湿った空気が刺激し、雨雲が発達。台風中心の北側に、活発な雨雲を伴う形となりました。

台風と前線のあわせ技。秋の台風シーズンによく見られる状況です。

19(日)13時からの48時間積算雨量

特に大雨になったのは宮崎県・高知県でした。これは地形的な理由です。

台風中心の北側を吹く南東の風が、宮崎県沿岸や高知県・徳島県沿岸など「南東斜面」に湿った空気を送り込み、山の斜面で上昇気流が強まって、雨雲が発達したものと思われます。

典型的なコースに

台風16号は、これまでに上陸した台風のコースと比較すると、綺麗な時計回りのカーブを描いています。これは、太平洋高気圧の縁をまわる風に乗って進んだ証拠です。

秋のシーズンになると太平洋高気圧が夏よりも張り出しが弱まり、日本付近に接近上陸しやすくなります。まさに、16号はこのパターンでした。

一方で、ほかの台風のコースを見ると、今年は高気圧に挟まれたり、別の要因も相まって、異例のコースを通る台風が多かったのです。

23年ぶりに「非常に強い」勢力で上陸した点も、特徴的です。

・東シナ海の海面水温が平年よりやや高く、27℃以上あった
・北の冷たい海域まで北上しなかった
・上空の風が発散していたことで、上昇気流が強化された

以上の3点で、台風の勢力が維持されました。この点は、通常の秋台風とは異なりました。


2016年台風アーカイブ

2015年台風アーカイブ

提供:株式会社ウェザーニューズ